こどもの整形・リハビリテーションを笑顔とともに楽しく
あおぞらファミリークリニックこども整形外科センター
(旧あそびと発達リハビリクリニック)

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お子様の治療をお考えのご家族様へ。
疾患や症状に合わせた、
当院の療法をご紹介いたします。

乳幼児股関節脱臼(先天性股関節脱臼・発育性股関節形成不全)

どんな病気?

赤ちゃんの股関節は大腿骨の頭の部分である大腿骨頭とそれを覆う屋根の部分である臼蓋(寛骨臼)からできています。 大腿骨の頭が完全に屋根から外れてしまうのが脱臼、はずれかかっているのが亜脱臼、頭の位置はよい位置ですが屋根の被覆が悪いものを臼蓋(寬骨臼)形成不全と呼んでいます。

どんな赤ちゃんが脱臼するの、発生率は?

女児(男児の約9倍)、骨盤位(さかご)出生に多く、また冬季の出生に多いです。 また右より左に多く、家族歴(血のつながった家族に股関節脱臼や変形性股関節症など股関節の悪い人が存在する)のある赤ちゃんが多いことが分かっています。脱臼の発生率としては 1000 の出生に 1~3 人です。

原因は何?

元々のはずれやすい体質に出生後の環境因子が加わって脱臼が生ずるといわれています。出生直後には容易に、はずれたりはまったりする不安定な股関節はありますが、完全にはずれているような事はほとんどありません。それが出生後の股関節の環境が悪いと脱臼になってしまいます。

環境因子

出生後の股関節の肢位や動きの状況が脱臼を生ずる大きな因子といわれています。出生後におむつやおくるみにより股関節の動きが妨げられ、赤ちゃんの安息肢位であるM字開脚の姿勢がとれていない股関節が伸びたような肢位が強制されると出生後脱臼になってしまいます。

外れやすい体質

股関節脱臼の赤ちゃんは、脱臼や変形性股関節症が家系にいる赤ちゃんが25%あります。この病気は明らかな遺伝形式をもってはいませんが(脱臼だったお母さんのお子さんが必ず脱臼になるわけではないです)、関節がゆるい、骨盤などの形態がもともと悪いなど、脱臼しやすい体質が赤ちゃんに遺伝されると、出生後の環境が悪いと、容易に脱臼を起こしてしまうと考えられます。一方そのような赤ちゃんでも、出生後に股関節の動きを妨げず、自由に動かせるようにすれば、脱臼になることを予防することができます。

☆脱臼予防育児法とは

基本的には無理に股関節をのばさない(赤ちゃん体操と称して股関節をのばすのも危険です)、またおむつや着衣にて股関節の動きを妨げないようにすることが重要です(着衣が厚くなる冬季に出生した赤ちゃんに脱臼が多い事実があります)。おむつはサイド部分の幅が広いものは避け、きつく締めないようにします。また向きぐせがあると、向きぐせと反対の股関節の開きが悪くなる事が多くあります。出生後はなるべく両方を向かせるようにして、下肢の動きに左右差を生じないようにしなければなりません。

症状、所見は?

乳児期

股関節の開きがかたい、左右の下肢の長さが違う、大腿、臀部の皮膚のしわが左右非対称であるなどの所見があります。脱臼していても赤ちゃんに痛みはありません。しかし脱臼側のあしの動きが健側に比べて悪いことはよくあります。正確な診断のためには画像診断が必要です。 一般的には X 線撮影が行われます。しかし被爆の問題もあり、当クリニックでは1才未満であれば超音波を使って診断します。

幼児期(1 歳以後)

歩行するようになるまで脱臼が放置されると、歩行異常「びっこ」が生じます。骨盤が前に大きく傾くために、いわゆるでっ尻のような歩行になります。脱臼していると歩き始めは一般的には遅いですが、歩けないことはありません。1才を過ぎると超音波診断は困難となり、X線診断と臨床所見にて診断します。

治療法は?

乳児期

出生後 1 ヵ月までは自然治癒することもあり治療をしません。1ヵ月を過ぎた脱臼では、超音波診断でコントロールしながら注意深くリーメンビューゲル装具という装具で治療を開始します。この装具は当クリニックの外来で装着、経過観察が可能です。 一般的には X 線撮影が行われます。しかし被爆の問題もあり、当クリニックでは1超音波を使って診断します。

幼児期(1 歳以後)

リーメンビューゲル装具は生後 6 ヵ月を越えると整復率がかなり低下し、1 歳以上での整復は困難です。この時期では入院してのけん引による治療が必要です。私の前職あいち小児センターなどを紹介いたします。
治療法の詳細は診察室で説明いたします。

(文責 服部 義)

ペルテス病

どんな病気?

こどもの時期に股関節の大腿骨の頭の部分への血行が何らかの原因で途絶され、骨の細胞が死んでしまい、そのため骨の強度が極端に弱くなり、注意しないとつぶれて骨に変形が生じてしまう病気です。

どんなこどもがかかるの?

2〜10歳(特に好発年齢は4〜7歳)の男の子(女児の約5倍の発生率)に多い病気です。一般的には身長が低く、活発な元気な子に多いとされています。

症状は?

多くは股関節の軽い痛み(時に大腿部や膝が痛いこともあります)と跛行(びっこ)が初発症状としてあります。同時に股関節の動きの制限、特に内外旋制限(あぐらがかきにくい、股関節をひねると右と左の動きが違う)が生じます。

診断は?

診察による身体所見とX線検査、MRI、超音波検査などの画像診断を総合的に判断して診断します。

どういう経過をとるのですか?

ペルテス病は大人の同様の病気である特発性大腿骨頭壊死と異なり、血行の再開通がおこり修復が働くことが大きな特徴です。ただし発症から修復が終了するまでおおむね3年から5年かかります。これを大きく4つの病期にわけます。

①滑膜炎期

極めて初期でX線像ではわずかな変化しかない時期です。この時期にも壊死は進行しつつあり、MRI、超音波診断などではその変化をとらえることが可能です。

②壊死期(硬化期)

骨頭部は壊死により、成長が停止あるいは陥凹により扁平化し、X線上の濃度が濃くなります。この時期がもっとも骨の強度が弱くつぶれやすい時期で約6カ月から1年かかります。

③分節期

血行の再開により、壊死に陥った骨が吸収され、新しい骨に徐々に置換される時期です。X線上は濃淡まだらな像となります。この時期は1〜2年続きますが、体重がかかる部分(荷重部)が新しい骨に置換されれば、その後つぶれる危険性は少なくなります。

④修復期

修復が完了するまでの時期です。この時期ではもうつぶれる危険性はありません。また逆にこの時期に治療を開始しても効果は期待できません。この時期も1〜2年続きます。

ペルテス病は発症してから完全に修復が終了するまでは3〜5年かかりますが、もっともつぶれやすい時期は発症後1年〜1年6カ月と考えられます。一度つぶれてしまうと、つぶれたままの形で新しい骨ができ、変形した形となってしまい、最終的には変形性股関節症となり、大人(30〜50歳ごろに)になってから痛みや歩行障害が生じてしまいます。従っていかにつぶれやすい時期をつぶさないようにするのがペルテス病の治療となります。

治療は?

ペルテス病は発症年齢や病巣範囲によって治療が必要でないものもあります。まず治療が必要であるかないかを判断します。3歳以下の発症では経過観察は必要ですが、通常はよほど悪化しなければ治療の必要はありません。また病巣範囲の狭いものも治療の必要はありません。4歳以上かつ病巣範囲が骨頭の半分以上にわたるものは治療が必要になります。治療の主たる目的は力学的につぶれやすい時期にいかに骨頭をつぶさないように維持し、新しい骨による修復を待つかということになります。一般的には強度の弱い骨頭を臼蓋の鋳型の中に包み込ませ、その臼蓋を鋳型にして骨頭の球形を保つコンテインメント(包み込み効果)の概念で治療します。詳しくは診察室でお聞きください。

(文責 服部 義)

大腿骨頭すべり症

どんな病気?

これは大腿骨のつけねの部分である大腿骨骨端(こったん)部が、その下の成長軟骨線を境として後内方にすべり落ちる病気です。

どんなこどもに多いの?

男児に多く(男女比 2~5:1)。好発年齢は10~14歳 肥満でX脚のこどもが多いようで肥満は危険因子です。両側発生率は10~40%で、左側に多いです。また肥満は無くても股関節に負荷がかかるような、痩せ型の運動選手(バレーや新体操やなど)にも生ずることがあります。

症状は?

股関節の病気ですが、初期は大腿や膝が痛いということで症状が始まることが多いので注意が必要です。またすべった側の下肢は外向き歩行になります。

注意しないといけない点は?

徐々に発症し、ある時点で急激にすべりが進行し、激痛とともに歩行できなくなるような状況になることがあります(急性悪化)。こうなると治療に難渋し、合併症も多くなるので、早期に診断し急性悪化させないようにするのが何より重要です。

治療法

早期に診断できれば、手術にてスクリュー1本で、それ以上すべらないように固定します。

(文責 服部 義)

単純性股関節炎

単純性股関節炎ってなに?

こどもの股関節疾患の中ではもっとも頻度が高い病気です。
4~9歳ごろに多く、罹患は片側がほとんどで、やや男児に多いようです。風邪などの前駆症状があることもあリますが、多くは特別な誘因なく急に股関節痛が生じ、びっこや時には歩行困難となることもあります。

症状は?

股関節痛、時に大腿部痛があります。びっこになり、症状が強いと歩行ができなくなります。股関節の動きも制限され、動かすと痛がります。通常1~2週間の安静にて、関節水腫が改善し、症状もなくなります、合併症などがほとんどない良い経過をたどります。

画像診断は?

超音波診断で股関節内に水(水腫)がたまっているのを確認できます。約1~2週間の経過にて水腫が消失する状況を超音波で確認していきます。

治療

安静のみで軽快しますが、疼痛が強い場合はしばらく床上安静をすれば早く改善します。予後は良好です。

(文責 服部 義)

化膿性股関節炎

化膿性股関節炎ってなに?

小児股関節疾患のなかで緊急手術の適応となる数少ない疾患のひとつです。

症状は?

発熱と強い股関節痛にて発症します。股関節の動きは強く制限されます。血液検査で白血球やCRPの上昇など感染反応を示します。本疾患を疑った場合は、超音波診断にて関節液の貯留を確認し、股関節穿刺を行い、関節液の性状を確認して、細菌培養検査を行わねばなりません。

画像診断は?

初期はX線診断はあまり異常所見がなく、超音波診断・MRI診断を行ないます。放置されれば、関節が破壊されることも多いです。新生児や乳児では、骨頭軟骨が破壊され骨頭が消失することもあります。注意を要する疾患です。

治療は?

早期に診断し、緊急手術にて関節包を切開し排膿を行います。治療が遅れると重篤な障害を残しますので、発熱があり、股関節を動かせないような状況があれば、すぐ診察されることを勧めます。

(文責 服部 義)

O脚、X脚

O脚、X脚って何?

わたしたちは下肢が内方凹の彎曲をしめす変形を内反膝と称し、このような変形が両側同程度対称的にみられるときは、O字型を呈するのでO脚といいます。逆に内方凸の湾曲を示す変形は外反膝といい、両側に見られるとX脚と言います。

こどもの下肢は年齢によってどのように変化するの?

座位や四つばいしかできなかったこどもが立ちあがり、そして歩き始めます。こどもの成長を見るのはとてもうれしいことです。また同時にその歩き方が気になるご両親、祖父母もたくさんおられます。まずはこどもの下肢形態の成長過程を理解していただくことが重要です。赤ちゃんはお母さんのお腹の中では下肢を丸めており、生まれてくる時はほとんどがO脚です。成長に伴いO脚は改善していきます。しかし多くの場合歩き始めの1歳ごろはまだO脚傾向です。その後成長とともにどんどん改善し3歳から4歳ではむしろX脚となり、5歳から6歳にまっすぐな下肢になるという発達をします。したがって1~2歳ごろのO脚、3~4歳頃のX脚はほとんどの場合が生理的なものであり、あまり心配することはありません。またO脚では膝から下が内側へねじれていることが多く、足先が内側を向く歩行をしますが、これも徐々に改善してゆきます。

どのようなO脚、X脚に注意が必要ですか?

以下のものは注意が必要です。

①程度の強いもの

お子さんを上向きに寝かせ、足の内側をくっつけ、膝と膝の間に指が3本以上はいるO脚。あるいは膝をくっつけてくるぶし間に指が3本以上はいるX脚(特別な疾患のことがあります)

②左右の膝の形が異なるもの

これはほとんど疾患に伴うものですので是非受診してください。

③低身長を伴うもの

骨の先天的な病気や膝の骨の栄養障害を呈する病気などの可能性もあります。
特に最近のお子様ではアレルギーの食事制限による栄養摂取不足、コロナ禍での外出制限による日光照射の不足によるビタミンD欠乏性くる病の発症が多くなっているともいわれています。
ご心配なことがあれば診察においでください。

(文責 服部 義)

先天性内反足

どんな病気?

出生時に前足部の内転、後足部の内反、足全体の尖足の 3 つの変形要素を持った足部の変形です。外国では下肢の形がゴルフのクラブに似ているのでクラブフットという病名になっています。この変形は徒手的な矯正に抵抗を示します。出生時に内反足様変形があっても、手で容易に正常の位置まで矯正されるものは、子宮内の肢位の残存で、すぐに改善し、真の先天性内反足ではありません。

発生率は?

発生率は1000 の出生に約 1 人で男児(女児の約 2 倍の発生率)に多いようです。両側性の方が 片側性よりやや多いようです。

原因は?

未だに明らかになっていません。胎生期の子宮内における機械的圧迫説、成⻑障害説、筋不均衡説、局所形成 異常説などがあります。足のみに異常があり他の部位に異常を合併しない先天性内反足と、先天性多発性関節拘縮症、二分脊椎、下肢の奇形などに合併する難治性の症候性内反足があります。

どういう病態ですか?

後足部の形態は主として距骨、踵骨、舟状骨、立方骨の 4つの骨から構成されますが、これらの4つの骨の配列が悪くなり、変形を生じていると考えられています。

診断は?

新生児では足部所見のみで診断可能です。新生児以後では麻痺性内反足との鑑別が必要ですが、病歴などを聞けば、鑑別は容易です。

治療は?

なるべく早期に変形を矯正し、それをいかに⻑く維持していくかということが治療になります。 治療開始時期は早ければ早い程良いですが、児の全⾝状態また⺟の状況を考えると生後 1〜2 週以後に本格的ギプス矯正を開始することが多いです。現在はポンセッチ法にて矯正していきます。週に1 回 ギプスをまき直しながら矯正していきます。この矯正ギプス包帯法を約 6 から 8 週間行います。当クリニックで可能です。その後アキレス腱を手術的に切ることでさらに矯正します。これは10 分程度の簡単な手術ですが、安全、確実に行うため麻酔にて行なうことが多く、あいち小児センターを紹介します。
アキレス腱きり後はギプスを 3 週間巻いた後に、デニスブラウン装具にてその矯正を保持します。3 から4 歳ごろまでは夜間の装着が必要です。
年⻑例、再発例では手術的治療(解離手術、腱移行術)などが必要となることがあります。

(文責 服部 義)

脳性まひ

”脳性まひ”って何?

お母さんのお腹にいる時期や乳児期に、何らかの原因で脳に上手く機能しない箇所が生じ、その結果、身体を動かすことが苦手になってしまった状態です。

”脳性まひ”の症状

脳性まひのお子さんは、みなさん何かしら身体を動かすことが苦手なのですが、トラブルが生じてしまった脳の箇所や範囲によって、動かしにくい身体の部位は異なります。足だけがうまく動かせない子もいれば、手も足も動かしにくい子もいます。食事や呼吸に関係する身体の機能に問題があるお子さんもいます。
さらに自分の意志とは関係なく、筋肉にギュッと力が入ってしまい身体を動かしにくい子もいれば、筋肉がクニャクニャと柔らかく力が入りづらいために身体を動かしにくい子もいます。脚にはギュッと力が入りすぎ、首はクニャクニャといったように、身体の部位によって筋肉の力の入り方に違いがあるお子さんも沢山います。
行為や動作といった点では、寝返りや、座ることが苦手な子もいれば、身体がカチカチにこわばっているためにリラックスして床に寝っ転がることさえ出来ない子もいます。逆に、脳性まひであっても元気に走り回れる子もいます。感覚機能に問題がある子や認知が苦手な子、コミュニケーションが苦手な子、周りの人たちとのお付き合いが苦手な子、てんかん発作で急に身体が震えたり、その場でバッタリと倒れてしまう可能性がある子もいます。

どんな治療やリハビリをするの?

身体の状態や家族構成などがお子さんによって異なりますので、それぞれのお子さんで解決したい問題点や、やりたいこと、なりたい自分も違って当たり前です。周りの子たちと同じ状態になることを目指すリハビリもありますし、周りの子との比較ではなく、単純にお子さん本人やご家族が今、困っていることを解決したいとか、本人がやりたいことを叶えていくリハビリもあります。
もちろん、現在から将来にわたって、できるだけ身体が変形してしまったり、痛くなったりしないように、ケアしていくことも大切です。

(文責 深谷佳希)

意志とは関係なく筋肉にギュッと力が入ってしまう場合(痙縮・過緊張)

意志とは関係なく筋肉にギュッと力が入りすぎてしまう状態では、滑らかに手足を動かしたり、柔軟に姿勢のバランスをとることが難しくなってしまいます。そうなってしまうと、遊びたくても遊びにくいし、遊ぶ意欲も薄れてしまっているかもしれません。筋肉に力が入りすぎてしまうことが原因で呼吸をしにくくなっていたり、ご飯を食べにくくなっているお子さんもいます。まずは、勝手に筋肉に力が入ってしまう症状を緩和してあげることがとても大切です。
脳性まひのそもそもの原因は脳にありますが、脳そのものを治療しなくても、筋肉に力が入りすぎてしまう症状を穏やかにできる方法はあります。ボツリヌストキシンという薬を筋肉に注射する方法や、リハビリの場面やご家庭で上田法という手技を使って筋肉をゆったりリラックスさせることができる場合があります。
また、疲労を溜めないように生活パターンを整えたり、汚れたオムツを適宜取り替えてお肌を快適に保ったり、洋服やシーツのシワをキレイに整えてあげたり、便秘を解消したり、ゆったりと呼吸できるようにしてあげたり、怖い体験や痛い体験を減らしてあげたりすることでも、筋肉はリラックスしてくれるかもしれません。

筋力が弱い場合

筋肉に力を入れる機会(自分で身体を動かす機会)を適度に増やしていくと、筋力が増していきます。ボディビルダーが筋トレをするのと理屈は同じです。ただし、お子さんがバーベルを持ち上げたり、スクワットを積極的にやってくれることは、ほぼありません。そのため、お子さん自身が、楽しそうだなと思い、自発的に身体を動かして遊んでくれるような機会を作り出すことが大切です。お部屋やおもちゃといった環境を整えることも大切ですし、お子さんが安心して動き回れるような状況を作ることも大切です。
また、筋力が弱い状態では、オモチャでさえ重すぎて、上手く扱えないこともあります。筋力に合わせて、遊びやすいオモチャを選んだり、遊び方を工夫することも大切です。

皮下組織や筋肉など本来は柔らかいはずの組織が硬い場合

身体を動かすことが難しいお子さんでは、特定の姿勢で過ごすことが多くなり、その姿勢で関節や皮膚や筋肉、それらの間をつなぎ留めているような組織が硬くなってしまっていることがあります。筋肉自体の長さが短くなってしまっていることもあります。身体を動かしたくても、硬くなってしまった組織が突っ張って上手く身体を動かせなくなることがあります。
身体の一部が硬くなってしまっているようならば、そこを柔らかくしてあげると良いでしょう。硬くなった箇所をじっくりと優しく伸ばしてあげると良い場合もありますし、布がヨレたような状態で引きつってしまった膜状の組織をほぐしてあげると良い場合もあります。ギプスを巻いて、じっくりと何日もかけてストレッチをしていくこともあります。
リハビリやギプス療法だけでは、十分な効果を得られないこともあります。そのような時は、筋肉や腱(筋肉と骨をつなぐワイヤーなような組織)を延ばす手術をお薦めすることもあります。当クリニックでは手術は行えませんが、適宜手術を行える病院やお医者さんを紹介したいと思っています。

骨が変形してしまっているとき

リハビリ室での取り組みだけで、変形してしまった骨の形を元に戻すことは難しいです。まずは、変形が進行しにくいように、日頃から取り組めることを見つけていくことが大切です。無理な姿勢で座らせ続けないとか、一定の姿勢で長く過ごさない、寝かせっぱなしにしないとか。その他にも、ゴソゴソと身体を動かしやすい座り方や椅子を提案していくことも大切です。身体に対して重力や筋肉のつっぱりがどのように影響しているか検討してくことは、とても大切です。先に書いた、ボツリヌス治療や上田法などが効果的な場合もあるでしょう。
もし、背骨の側弯や下肢の骨の変形が生じてしまい、生活や活動に不具合が生じてしまったときには、必要に応じて骨に対する手術で対応したほうが良いかもしれません。当クリニックでは手術は行えませんが、適宜手術を行える病院やお医者さんを紹介したいと思っています。

身体の動かし方のバリエーションを増やしたいとき

お子さんが身体を動かすときに、いちいち自分の身体を意識することはほとんどないでしょう。小さなお子さんほど、気の向くままに行きたいところに行きやすい方法で、やりたい遊びをやりやすい様に、自由に身体を動かします。幼いお子さんに対して身体の使い方を事細かに指示していては、お子さん自身は楽しく遊べません。お子さんに身体の使い方を指導したりする前に、まずは遊びやすい身体の状態を整えてあげることが大切だと考えています。先に書いたような筋肉の過剰な緊張を軽減したり、硬くなってしまった組織の柔軟性を取り戻したり、筋力をつけることが、遊びやすさの下地になりますし、身体の状態が整うことでお子さんが自然と上手な身体の使い方を身に着けてくれることもあります。ある程度年齢が上がってきて、自分の身体のことを気にするようになってきたら、身体の使い方を本人が意識して変えていくような取り組みも大切になってくるかもしれません。

(文責 深谷佳希)

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二分脊椎(にぶんせきつい)

”二分脊椎”って?

二分脊椎の“脊椎”とは俗に言う“背骨”のことです(脊椎は別名で脊柱(せきちゅう)とも言います)。背骨はいくつものブロックのような骨(椎骨(ついこつ))が積み重なった構造となっています。
1つ1つの椎骨を上(頭の方)からのぞき込むと、真ん中に穴が開いています。このような形の椎骨が積み重なって背骨が構成されているわけですから、背骨には首から腰まで真ん中を貫くようにトンネルがあるような形状になっているわけです。このトンネルを脊柱管(せきちゅうかん)といいます。脊柱管の中には“脊髄(せきずい)”という太い神経線維の束が通っています。脊髄は“脳”と“末梢神経”をつないでいて、身体の情報をやり取りする際の主要な経路となっています。
二分脊椎の“二分”とは、脊椎の後方が部分的に“左右に2つに分かれている“ことを意味しています。脊髄を感染や外部からの衝撃から守るためには、脊椎のトンネルの中で保護されていて欲しいのですが、その防御壁であるべき脊椎の後方に割れ目が開いてしまっている状態が”二分脊椎“です。

”二分脊椎”の症状

同じ二分脊椎という病名であっても、脊柱の割れ目がどの位置にあるのか、割れ目の大きさがどの程度か、脊椎のトンネルから脊髄がどの程度はみ出していたかといった種々の状況によって、症状は様々です。
例えば、脳に近い箇所で脊髄にダメージがあるほど、脳と情報のやり取りができない身体の領域が増えてしまいます。脳と情報のやり取りができない身体の領域では、身体を動かすための脳からの指令が届かなかったり、意図とは違う情報が伝達されてしまったりします。そうすると、思い通りに身体を動かせない状態となります。これを運動麻痺といいます。場合によっては、歩けなかったり、床に一人で座っていられないということもあります。脚を動かせない影響もあり、骨がもろくなって骨折を起こしやすいお子さんもいます。徐々に側弯が出てきたり、股関節が脱臼してしまうお子さんもいます。足先の変形を生じてしまうお子さんもいます。
また、皮膚や関節、臓器などからの感覚情報が脳にまで届かないといった症状(感覚障がい)も起こり得ます。まず、肌を触られていることがわからなかったり、痛みを感じ取れないといったことが考えられます。そのような状態では、切傷や火傷があっても本人が気づかないままで、周りの人が気が付いた時には大量に出血していたり、骨折を起こしていたり、ひどい火傷を起こしていたりといったことが起こり得るのです。
脊髄を介した情報のやり取りは、脳と内臓の間でも行われています。したがって、二分脊椎によって内臓の機能にも影響が出ることがあります。特におしっこやウンチを溜めたり、出したりする機能には影響が出やすいです。便秘がちであったり、下痢になりがちであったり、ウンチをお腹の中に留めていられなくて勝手にオシリから出てきてしまったり、おしっこが勝手に出てきたり、うまく出し切れなかったり…。膀胱に汚れが溜まって膀胱炎になってしまうお子さんも少なくありません。
二分脊椎の症状は他にもたくさんあります。ゴムに対するアレルギー(ラテックスアレルギー)がある子、頭の骨の奇形(キアリ奇形)によって首をそらすような衝撃で呼吸停止などの重大事故に繋がりやすい子など、普段の生活やあそびでも、特別な配慮が必要なお子さんもいます。

どんな治療やリハビリをするの?

脊柱の割れ目や、そこからはみ出してしまった脊髄をそのままにしておいては良くありません。感染症のリスクも付きまといます。したがって、生まれてすぐの時期に手術をすることが多いのですが、残念ながら、このような手術で運動麻痺や感覚障がいが無くなるわけではありません。そして、その後にリハビリを実施しても、これらの麻痺や障がいが治るわけではありません。それでは、なぜ診察やリハビリをするのでしょうか?診察やリハビリをする目的として次の3つが挙げられます。

①伸びる可能性がある能力を、できるだけ引き出す
②二次的に身体が変形してしまうことや硬くなってしまうことを極力防ぐ
③安全に有意義な生活を送るための手段や生活パターンを検討していく

これらの、3つの目的を念頭に治療やリハビリを進めていくことになるかと思います。

(文責 深谷佳希)

能力をできるだけ引き出すために

全く足を動かせない状態から、何の不自由もなく足を動かせるようになることは難しいでしょう。しかしながら、わずかに脚を動かせる程度の筋力だったのが、トレーニングすることで少しずつ脚に力が入るようになり、テーブルにつかまって膝立ちができるくらいになるかもしれません。筋力をつけたり、運動能力を高めるためには、身体を自発的に動かす機会を増やして行きたいのですが、運動そのものが身体に負担をかけすぎてしまっていないか、注意しながら進める必要があります。股関節がはずれかけている状態であるのに、無造作に立位練習を繰り返すことはお勧めできません。また、下肢の感覚麻痺がある状態では、足首がねじれていても、靴擦れができていても痛みを感じませんので、無理な立位姿勢をとっていることで、関節が痛んだり、褥瘡(じょくそう)ができてしまうこともあります。リスク管理をきちんと行えるリハスタッフとともに、どのように運動をしていけば良いか、検討できると良いでしょう。

身体が変形したり、硬くなってしまうことを防ぐために

幼い時期だけでなく、成人期までのことを考えると、身体の変形を完全には防ぐことは相当に難しいことです。しかしながら、変形の程度をある程度に抑えることはできるかもしれません。逆に、身体の変形が一般の人には想像しないほどに進行してしまうことがありますし、それによって皮膚トラブルが生じたり、座れていたはずなのに座れなくなってしまうことも起こり得ます。変形が生じないために、あるいは進行しないようにするためには、普段の身体の使い方や姿勢を見直していくことが大切です。また、筋力を発揮できないような麻痺があるために姿勢が悪くなってしまっているならば、それをサポートできるような装具や座位保持装置(サポート機能付きの椅子)、車いすなどを作成します。身体のどの部分を支えてあげると、うまく姿勢をサポートできるのか、身体を動かしやすくなるのか検討できるとよいでしょう。身体の成長や変化とともに、これらの道具の仕様も見直す必要があります。

安全で有意義な生活を送るために

身体の機能を良くすること、変形や拘縮を予防することだけで、快適な毎日を過ごせるとは限りません。例えば、皮膚感覚がマヒしていて、おしりに褥瘡ができやすいようなお子さんでは、おしりの圧力を分散してくれるようなクッションが必要になります。身体の不自由さを補ったり、変形などの二次障がいを防ぐために補装具の使用が効果的なことが多くあります。しかしながら、装具や車椅子などが身体に支障を及ぼしてしまう可能性もあります。例えば、脚の筋力を補ったり、変形を予防するために、下肢装具を作成することがありますが、その装具が皮膚を圧迫してしまい、褥瘡を作ってしまうことがあります。補装具の作成に際しては繊細な配慮が必要になります。医師やリハビリスタッフ、義肢装具士と一緒に、使いやすくて、安全な補装具を作れると良いと思います。
保育園や学校に通うようになると、ご家族以外の保育士さんや教員の先生に抱っこや着替え、トイレ介助などをしてもらう機会も出てくるでしょう。安全に保育園や幼稚園、学校に通うためには、保育士さんや先生たちにも二分脊椎のことやリスク管理を知ってもらわないといけません。そのような説明を、ご家族からだけでなく、リハビリのスタッフからもできると良いかもしれません。特に、進級・進学のタイミングでそのようなサポート体制を整えておくことは大切だと思われます。

(文責 深谷佳希)

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筋ジストロフィー

”筋ジストロフィー”って?

一般的には、筋肉は負荷の強い運動や外傷によって日常的にも損傷するのですが、その後再生する機能をもっているため、元通りか、あるいは元々よりも強い筋肉に再生します。ところが、筋ジストロフィーでは、筋肉の部品であるタンパク質の一部を身体の中でうまく作れないため、筋肉の再生機能が制限されてしまっています。筋肉の損傷に対して再生が追い付かなくなることで、徐々に筋力が弱くなり、身体を動かすことが難しくなっていくと考えられています。また、筋肉が線維化して固くスジばった状態になったり、脂肪化するような現象も起こり得ます。

筋ジストロフィーの種類と症状

筋ジストロフィーには、さまざまな病型があり、それぞれで症状が出始める時期や進行のスピードが異なります。

デュシャンヌ型筋ジストロフィー

デュシャンヌ型では、筋肉の構造を支えるジストロフィンというタンパク質を作る設計図にトラブルが生じており、ジストロフィンを作ることができません。そのため、うまく筋肉を再生することができないのです。
乳児期から幼児期にかけて運動機能は伸びていきますが、幼児期以降に走りにくい、転びやすいといった症状がみられるようになります。徐々に運動機能が低下し、小学生の時期に歩きにくさが目立ってきます。その後も徐々に、筋力低下は進み、車椅子などの道具を使ったほうが生活しやすくなります。さらに、年齢が進むと、ご飯を食べるために必要な筋肉や、呼吸をするために必要な筋肉にも症状がみられるようになりますので、食べ物の形態を工夫したり、呼吸をサポートする機器を導入するといった対応を考えていくことになります。筋力が低下するとともに、身体を動かす機会も減ってしまいがちで、関節が硬く動きにくくなることも起こり得ます。普段の姿勢や運動の仕方、筋肉が硬く縮んでしまう程度などによっては、側弯などの変形が目立つようになります。

ベッカー型筋ジストロフィー

ジストロフィンの設計図にトラブルが生じているという点は、デュシャンヌ型と同じです。ただし、ベッカー型ではジストロフィン自体を作ることはできるのですが、その構造に不十分さがあるといわれています。デュシャンヌ型より発症時期が遅く、症状もゆっくりと進行します。成人になっても歩ける方もいますが、症状には個人差があるため、車いすを使ったほうが生活しやすい場合もあります。

福山型筋ジストロフィー

先天性筋ジストロフィーとよばれるタイプの1つです。先天性とは、「生まれた時から症状がみられる」ことを意味しています。乳幼児期では運動面の発達もみられますが、そのペースは非常にゆっくりとしたものです。自力で座れるようになるお子さんもいますが、幼児から小学校のころには筋力低下のために運動機能は低下していきます。車いすや座った姿勢をサポートする道具(座位保持装置)も比較的早い時期から使うことが多くなります。関節が硬くなったり、骨格の変形も起こりやすく、その程度も強くなりやすいと考えられます。姿勢や運動だけでなく、食事や呼吸に関しても配慮が必要で、毎日を元気に過ごすためには医療機器を使ったケアを日常的に行うことも検討していくことになるでしょう。知的な発達に遅れがある福山型のお子さんには、これらの種々の取り組みの大切さや、機器の使い方を理解・納得してもらうため、いっそう丁寧な説明や導入作業が大切かもしれません。
天真爛漫なキャラクターや、クリっとした大きな目のお子さんが多いことも特徴的です。

筋ジストロフィーのお子さんのリハビリについて

医療的なケア(栄養摂取の方法や呼吸維持のために医療的な取り組みを行うこと)の進歩などにより、筋ジストロフィーのお子さんが生きていられる期間は徐々に長くなってきています。生きていられる期間は長くなってきましたが、自力でご飯を食べづらくなったり、呼吸をしにくくなった後の期間が延びているともいえます。筋ジストロフィーのお子さんのリハビリの目的を考える際には、医療的なケアが必要となったあとの日々をいかに有意義に過ごしていけるかも考慮したほうが良いように思われます。このような時期には、自分の身体を動かすことは、相当に制限されていることでしょう。車椅子やベッドで過ごす時間がほとんどになります。寝心地や座り心地が悪くても、自分で姿勢を変えることはできません。身体がガチガチに硬くなってしまっていたり、脊柱の側弯変形がある状態では、心地悪いだけでなく、褥瘡(じょくそう)のリスクが高まります。本人も痛いでしょうし、褥瘡の傷口から感染するリスクも高まります。逆に、身体の変形がさほど目立たず、柔軟性も保たれていれば、寝た姿勢でも座った姿勢でも、さほど居心地は悪くないでしょう。ゆっくりと本を読んだり、ゲームをしたり、夜間もゆったり寝られるかもしれません。
筋ジストロフィーのお子さんのリハビリを考える場合には、自分で歩いたり座れたりできる期間を少しでも延ばしたいという運動面のニーズに応えるだけでなく、将来にわたってお子さん自身がどのように趣味や仕事に取り組んでいけるのか、それらに取り組みやすい身体の状態を維持できるのかといった点も大切にしていけると良いと思います。

(文責 深谷佳希)

筋力の維持について

筋ジストロフィーのお子さんの場合、頑張って運動することが良いとは限りません。運動の強度によっては筋の破壊を進め、症状の進行を早めてしまうことがあります。どの程度の運動までならば、筋をむやみに損傷しないで済むのか、逆に体力が低下しないためにはどの程度運動した方がいいのか、その見極めが大切になるでしょう。一方で、お子さん自身には、保育園や学校で友だちと同じように体を動かしたい・遊びたいという思いもあるはずですので、一概に運動を制限していたのでは忍びありません。
お子さん本人の気持ち、疲れ具合、筋肉の硬直の程度、筋力低下の進行状況を総合的に勘案して、日常生活の運動・遊びに関するアドバイスをするのもリハビリの一環です。

変形や拘縮の予防について

筋力低下が実際に生じてしまい、思い通りに身体を動かせない状況にあって、無理な動作や運動、特定の姿勢を繰り返して過ごしていると、思いもよらないほどに骨格の変形が進んでしまうことがあります。また、関節が硬くなって動きにくくなることもあります。これらを防ぐためには、日常的に身体じゅうの関節を動かすことが大切です。また、硬くなってしまった筋肉などを再び柔らかくするようなマッサージもあります。リハビリの場面でこのような運動・体操・マッサージを行うことはもちろんですが、ご家庭でも無理のない範囲で実践できると良いでしょう。硬くなりそうな関節や身体の箇所を特定して、それぞれの箇所に応じた柔軟性を維持するための運動・体操・マッサージの方法を見つけられると良いでしょう。ご家族の家事の時間やお子さんの遊びや勉強の時間が少なくなってしまわないよう、効率的で行いやすい方法や実施時間帯をリハビリスタッフと一緒に考えていけるといいですね。

補装具の導入

身体の変形や関節の硬さが生じないように姿勢や身体の動かし方に気をつけると良いのですが、筋力が低下した状態では、お子さん自身に姿勢を正すように気をつけてもらったり、頑張ってもらうにも限界があります。そのような時には、手足や体幹を支えてくれる装具や、パッド・クッション付きの椅子・車椅子を使うと良いでしょう。お子さんがご家庭や学校で楽に座れるように、あるいは机に向かって勉強しやすくなるように、本やゲームも楽しめるように、身体を支えてあげる道具です。ただし、身体に合った補装具を作るには、専門的な知識も必要です。どの程度の支えが必要なのか、装具を着けたためにかえって身体を動かしにくくなっていないか、装具が身体を圧迫して痛みが生じていないか、身体の発育や症状の進行に応じた修理の必要はないか等、様々な観点で補装具の適正をチェックする必要があります。
車いすや電動車椅子を使うことで、家族や友達と買い物やレジャーに行ける可能性が広がるということもあるでしょう。身体のケアだけでなく、生活の質を上げていくために、どのような補装具を活用できるか考えていきましょう。

その他の治療法

筋ジストロフィー症の治療方法として、デュシャンヌ型に対するステロイド療法が行われている病院もあります。エクソン・スキップ療法という遺伝子に働きかける治療法も研究されています。このような専門的な治療に関しては、当クリニックではなく、筋ジストロフィー治療の専門機関・病院にてご相談いただければと思います。

(文責 深谷佳希)

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精神運動発達遅滞

”精神運動発達遅滞”って?

知的機能の遅れがみられる状態を“精神発達遅滞”といいます。精神発達遅滞にあるお子さんでは、麻痺や変形といった身体機能的な問題がはっきりしないにも関わらず、運動発達にも遅れがみられるお子さんがいます。このようなお子さんの状態を“精神運動発達遅滞”と言います。
“精神運動発達遅滞”は発達状況を表しているに過ぎず、疾患名というわけではありません。ダウン症、ターナー症候群、5p-症候群などでは、精神発達遅滞があり運動発達にも遅れがみられることがあります。原因疾患がはっきりしない場合もあります。

”精神運動発達遅滞”の症状

赤ちゃんの段階では、学校で行うような学力テストで知的な発達状況を推し量ることはできません。そのため、「光る物体を目で追う」とか、「家族からの声かけに振り向く」とか、「顔に掛けた布を取りよける」といった反応・行動を指標に、赤ちゃんの知的な発達状況を確認します。“ひと”や“もの”に対する認知や興味が低いお子さんでは、それらを見るために顔を動かしたり、手を伸ばしたり、近づいていこうと寝返りしたりするような、自分で動き出そうとするモチベーションも低くなりがちです。
また、知的面での特徴だけでなく、精神発達遅滞のお子さんには、明確な運動麻痺などが無いにしても、身体がフニャフニャと柔らかく、姿勢を保持したり、大きな力を発揮することが苦手なお子さんが多くみられます。

”精神運動発達遅滞”って?

知的機能の遅れがみられる状態を“精神発達遅滞”といいます。精神発達遅滞にあるお子さんでは、麻痺や変形といった身体機能的な問題がはっきりしないにも関わらず、運動発達にも遅れがみられるお子さんがいます。このようなお子さんの状態を“精神運動発達遅滞”と言います。
“精神運動発達遅滞”は発達状況を表しているに過ぎず、疾患名というわけではありません。ダウン症、ターナー症候群、5p-症候群などでは、精神発達遅滞があり運動発達にも遅れがみられることがあります。原因疾患がはっきりしない場合もあります。

”精神運動発達遅滞”のお子さんのリハビリについて

知的面と運動面の発達は切っても切り離せない関係です。どちらの発達状況も大切に見守りながら、個々のお子さんのペースに合わせたリハビリをしていけると良いと思います。知的面の発達が進むと、興味の対象や楽しみ方のバリエーションが増えていきます。興味の対象や楽しみ方が増えることで、身体を動かすモチベーションがあがり、運動面の発達も進みやすくなります。運動面の発達が進み、行動範囲がひろがると、お子さん自身が周りの“ひと”や“もの”に働きかけることができるようになります。そうなることが、知的好奇心を更にくすぐることになります。自発的な活動にもとづいた失敗体験や成功体験も増えていきます。こういったことは、知的面の発達にも大変有意義であろうと思われます。
運動面と知的面が相互に影響して、相互に発達していくことを目指します。

(文責 深谷佳希)

精神発達(知的発達)について

精神発達遅滞であっても、いつまでたっても何にも興味を示さない・反応しないというお子さんにはお会いしたことがありません。ゆっくりではありながらも、何かしらに興味をもち、楽しみを見つけてくれるはずです。特に、お子さんと家族が面と向かって、お互いの行動・言葉に対して、柔軟に相手も反応してくれるようなやり取りがあると、お子さんの“ひと”や“もの”に対する興味も豊かになるようです。気に留めておいていただきたいのは、一般的に大人が面白いと思っていることが、精神発達遅滞のお子さんにとっては興味の対象外であることも多いということです。お子さんの好きなものを探すときは、先入観を持ちすぎずに、お子さんの様子をしっかりと見守ってあげると良いと思います。まずは、それぞれのお子さんの好みに沿うように、見たり、触ったりできるものや環境を整えてあげると良いと思います。

筋力や運動機能を高めるために

座れるとか、立ったり歩いたりできるといった運動機能の発達を進めるためには、筋肉を適度に使って筋力アップを図ることが大切です。しかしながら、身体がフニャフニャと柔らかく、姿勢を保持したり、大きな力を発揮できないお子さんが多いわけですから、強度の高い運動を無理強いさせてしまうと、お子さん自身の関節や靭帯に過剰なストレスを加えてしまうことにもなりかねません。筋力や骨格の成長の状況に応じて、適切な強度で身体を使うような遊びや運動を日常生活に取り込むことが大切となります。例えば、足首の関節が“ふにゃふにゃ”と柔らかい状態で、周りの筋力も未発達の状態では、あまり積極的に立つ練習を実施するべきではないかもしれません。足首が体重を支え切れず、“外反扁平足(がいはんへんぺいそく)”といった足の変形を助長することがあります。そのような心配がある場合では、立って全体重を足首にかけずとも、椅子に座った状態で少しずつ足にも体重をかけながら遊ぶと良いでしょう。少しずつ、足首の周りがしっかりしてきたら、椅子に浅く腰掛けるなどして、足にかかる荷重を少しずつ増やしていきます。そうすると、だんだんと立った状態に近づけたトレーニングとなっていきます。インソールや装具を使って、足の骨格を支えながら立ったり、運動することが良い場合もあるでしょう。足ばかりに着目せずとも、お尻に周りや背中の筋肉をひとまずトレーニングしていっても良いかもしれません。あせらず、コツコツと、無理せずに、やれることを行っていくのがポイントです。

(文責 深谷佳希)

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